エシカルとは?持続可能な未来のために消費を考えよう
近年耳にするようになった「エシカル」という言葉。漠然と、環境に配慮していたり、地球に優しいといったイメージを持っているかもしれません。
これまで多くの人は、価格が安いものや目先の利益を考えて活動をしたり消費したりしてきました。ですが、地球の資源は有限です。このままでは、地球の未来は持続することが難しくなってきています。
そこで、環境や社会、人に優しい消費行動をしたり、考え方を変えたりする必要が出てきました。自分のことだけでなく、他者や社会、環境、地球の未来を思いやる考え方がエシカルなのです。
山陽製紙は、様々な廃棄物を加工し紙資源へとリサイクルする「紙でエコ!」を世界に広めており、まさにエシカルを実践しています。エシカルな活動を進める私たち山陽製紙が、エシカルとは何かをご紹介します。
目次
エシカルとは
「エシカル」(ethical)とは、直訳すると「倫理的な」「道徳的な」という意味になります。エシカルは、法律で決められていることではありませんが、人の良心やモラルに従って正しいとされる行動をとる概念として一般的に使われます。
そして最近は特に、地球環境や人類、動物などに対して配慮した行動をとることや考えることについて、「エシカル」という言葉が用いられます。
私たち人間や動物が暮らす地球の資源は限りあるものです。有限の資源を大切に使い、次の世代も安心して暮らせる持続可能な社会を目指していかなければなりません。そのために、エシカルという考え方が注目されています。
エシカルを考える必要性とは
なぜ今「エシカル」という考え方が必要なのでしょうか。それは、地球で目を背けてはならない問題が発生しているからなのです。
地球環境の変化
世界の緊急課題として、気候変動に伴う異常気象や温暖化があげられます。
これまで森林の伐採や空気汚染、水資源の不足なども加速して進み、経済の豊かさと引き替えに地球環境は犠牲となってきました。
そこで、これからも地球で安定して暮らしていくために、2030年までに国際社会全体で取り組むべき目標が掲げられました。
それが、SDGs:持続可能な開発目標です。
SDGsは、2015年の国連で採択されたもので、17の目標があります。そのうち、
目標13 「気候変動に具体的な対策を」
目標14 「海の豊かさを守ろう」
目標15 「陸の豊かさも守ろう」
とあるように、国連に参加している193か国すべての国、そして地球で暮らす一人一人が未来の地球環境維持のために取り組んでいこうと決めたのです。
途上国との格差
私たちは、衣食住に関わることなど、常に何かしらの消費をしています。着ている洋服や、日々飲んだり食べたりしているコーヒや紅茶、チョコレートの裏側に目を向けたことはあるでしょうか。
ファストファッションの流行などで安く手に入る洋服のコットンや、チョコレートの主原料であるカカオなどの多くは、途上国で生産されています。その背景には、劣悪な環境で働く労働者の労働搾取、学校にも行けずに強制的に働かされる児童労働、そこに住む動物の環境が破壊されるといった問題が潜んでいるのです。
私たちが安い商品を積極的に求め消費することが、途上国との格差を広げていることにつながっています。
エシカル消費、エシカルな行動とは
先ほども述べたSDGsの12番目は、「つくる責任 つかう責任」です。このまま地球に犠牲を強いらせたり、有限なエネルギーや食物を消費したりしていくと、継続的に今のような暮らしを送ることは不可能だと考えられています。
地球の未来を持続可能なものにするために必要なのが、消費者の意識の向上です。使う側がエシカルな消費、行動を実践することで、社会の課題解決に関わることができるのです。
批判的意識を持つ
購入する製品ができるまでの過程について、不適切な原料が使用されていないか、製造過程で強制労働が行われていないかなどを意識し、見極めることが必要です。
適正な価格で購入することのできるフェアトレード商品を選ぶことも、エシカル消費の一つです。
CSRを実践している企業の商品を選択的に購買する
CSRとは、企業の社会的責任を意味する言葉で、地域社会への貢献や地球環境への配慮といった取り組みができている企業の商品を選ぶこともエシカルにつながります。
不必要なものを買わない
限りある資源、食物を有効に使うために、今必要でないものは買わないということもできます。不要な買い溜めはせず、確実に消費できる量だけを購入するようにしましょう。
省資源のものを選ぶ
エコマークがついた商品を選ぶ、カーシェアリングをする、エネルギー効率がよく寿命の長いLED電球を選ぶなど、資源を有効に使うためにできることは多くあります。
3R活動
3Rは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つの英語の頭文字をとったものです。
エコバッグを使用して無駄な包装をなくす、フリーマーケットを利用したり中古品の販売で再利用したりする、廃棄物を再び有効に利用する。これらすべてエシカルな行動と言えます。
地産地消
地産地消は、地域へ配慮ができる行動です。地元でとれたものを積極的に購入することは、輸送のためのエネルギー減少につながります。
また、災害が起きた被災地への復興支援のために、その地域の特産物を購入して応援したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。応援消費は、フードロス削減や生産者の支援にも貢献することができます。
山陽製紙のエシカルに関する取り組みとは
山陽製紙では「サステナブル(持続可能な)で、環境負荷の低い」再生紙を作っていますが、これもエシカルな商品であると言えます。
その他にも、山陽製紙は地球環境に配慮したエシカルな取り組みを行なっています。その一部をご紹介します。
活性炭処理による高度排水処理設備
製紙業では多くの水を使用し、また薬品も使用するので、工業排水をそのまま川へ排出することはできません。
隣接する男里川(おのさとがわ)の伏流水を使用している当社では、2018年から活性炭ろ過方式浄化処理施設の稼働を開始し、排水を魚が住めるレベルにまで浄化処理しています。
クリーンエネルギーの使用
山陽製紙では、再生可能エネルギーを主な電力源とする電力会社の新電力(FIT電気)を導入しています。主に長野県の水芭蕉水力発電所でつくられたクリーンエネルギーを使用しています。
eco検定®・CSR検定への挑戦
山陽製紙では「循環型社会に貢献する」という経営理念や経営ビジョンの実現に向けて、「環境人材」の育成に力を入れています。
東京商工会議所が開催する、『環境社会検定試験(通称:eco検定®)』、『企業と社会が連携して社会的課題を解決する意味や「CSR リテラシーの基本」を身につけることを目的としたCSR検定』(主催:株式会社オルタナ・一般社団法人CSR経営者フォーラム)などの受験を通して、自社の取り組みや社会の課題に対してどのように関わっていくべきか客観的に捉えられる知性を養っています。
2021年10月1日現在、山陽製紙の社員数44人中eco検定®合格者は34人、CSR検定3級以上合格者は27人という結果を残しています。
男里川清掃ボランティアの取り組み
紙を作るのにかかせない、伏流水の供給源である男里川を、毎月有志で清掃しています。
ゴミを拾ったり、草を刈り取ったり。魚や鳥の住みやすい環境をつくるために、地域の皆さまと協力して、毎月第二日曜日、朝8時から1時間ほど活動しています。
PELP!(ペルプ)
不用なコピー用紙を専用回収袋「PELP! BAG」に入れ、山陽製紙に送ることで、今まで捨てられていた紙が、「PELP! PAPER」と呼ばれる再生紙に生まれ変わります。PELP!会員は紙の送付量に関わらず、その 100%再生紙を使って「PELP! PRODUCT」を作ることができます。
山陽製紙は、2020年にFSCCoC認証(※FSC®C157238)を取得しました。
CoC認証とはFSC認証を受けた木材や原料が加工流通過程で、他の非認証製品と分別されているかを確認するものです。古紙の再利用についても、新しく木を伐採する必要がないため、間接的に森林保護につながると考えられています。
これによってPELP! 会員であれば、自らFSC認証紙を作り、使うことができるようになりました。
今ではPELP! パートナー会員様同士の交流イベントの開催などを通じて、一社では解決できない課題に対してもパートナーシップを構築し、解決する糸口を発見する取り組みを進めています。
1% for the Planet
「1% for the Planet(1%フォー・ザ・プラネット)」は、自然環境保護の必要性を理解する企業の同盟です。
米・パタゴニア社創業者であるイヴォン・シュイナードらが設立、提唱したもので、企業の年間売上の1%を承認された環境保護団体に寄付する取り組みを行っています。山陽製紙株式会社はこのメンバーに加盟し、「PELP!」を通じて生じた売り上げの1%を、自然保護活動を行う団体に寄付しています。
紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙
山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。- 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
- 製紙・商品開発の相談がしたい
- 工場見学をしてみたい
執筆者:山陽製紙
1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。