リデュースとは?リサイクルとの違いや取り組む意味について
リデュースは、ごみを減らすという、発生抑制を意味する言葉ですが、物で溢れごみ問題を抱える現代において、優先的に取り組むべき行動です。
レジ袋有料化にみられるように、リデュースは国単位で進められており、それに伴って個人単位でもリデュース実践の輪が広がりつつあります。
しかし、未だにどのような行動がリデュースになるのか、何をしたら良いのか、リデュースの意味を理解できていない人が多いのも現実です。
この記事では、環境にやさしいリデュースの意味を改めてお伝えするとともに、山陽製紙がリデュースに取り組む意味についてなどご紹介します。
目次
リデュースの意味とは
リデュースとはごみを減らすための行動で、英語では「減らす」を意味する「Reduce」と表記します。リデュースは、私たちが排出する膨大な量のごみが原因で叫ばれ始めました。
私たちが暮らしを営み、さまざまな物を消費すれば、ごみは必ず発生します。回収されたごみはリサイクルされる物もあれば、焼却処分を行うものも多く、そういった物は最終的には埋め立て処分されています。
豊かな暮らしと引き換えに発生するごみの量は膨大で、処分する際には温室効果ガスの一種である二酸化炭素を排出し、それは地球温暖化を助長する要因にもなっているのです。
ごみを埋め立て処分することによって、土壌汚染が問題になったり、不法投棄されたごみが海洋汚染を起こしたりと、環境に悪影響を及ぼしている実態もあります。
このように、大量のごみによってさまざまな問題が起こり、このままでは持続可能な暮らしを継続することが難しくなってきました。そこで、ごみの削減「リデュース」に取り組もうと世界で動きがみられるようになりました。
3R:リデュース、リユース、リサイクルの意味
リデュースとともに取り上げられるのが、リユースとリサイクルです。
リデュース(Reduce)=ごみを減らす(発生抑制)
リユース(Reuse)=繰り返し使う(再利用・再使用)
リサイクル(Recycle)=ごみをもう一度資源にする(再資源化)
3つの単語の最初の「R」をとって「3R(スリーアール)」といい、リデュースを含めた3R活動を進める動きが広がっています。改めて、リユースとリサイクルの意味についても知っておきましょう。
リユースの意味
リユースは再利用という意味で、一度使ったものをごみとして処分しないで再び利用することです。
例えば、使用したビール瓶は回収され、再度洗ってまたビール瓶として使われますが、これはリユースです。また、着なくなった服や使わなくなった物をごみとして処分するのではなく、フリマアプリやフリーマーケットで次の持ち主へと渡らせることもリユースになります。
最近では企業も、製品を設計する際にリユースしやすいよう工夫したり、使用済の製品や部品、容器などを回収して再利用したりするなど、リユースを意識した動きがみられます。
リサイクルの意味
リサイクルは、一度使用したものを再び資源の状態に戻したり、またはそれを使って新たな製品にしたりすることです。
使用済みのペットボトルを溶かし、それから化学繊維をつくり衣服にするなどはリサイクルに当たります。
個人レベルでは、自治体のルールに沿ってごみを分別したり、家電リサイクル法に従って家電を処分したり、容器トレーや牛乳パックなどを資源回収や店頭回収に出したりするなどできることは多くあります。
企業側は、製品を設計する際に使用後のリサイクルのしやすさを考えたり、自社製品の回収やリサイクルに積極的に取り組んだりと、リサイクルを前提とした開発や処分方法が当たり前の考えになりつつあります。
リデュースは最優先事項
3Rの取り組みは、どれも環境に負担をかけないためには必要不可欠な取り組みです。しかし、リユースやリサイクルはその過程でエネルギーや費用を消費しますし、ごみ自体がなくなる仕組みではありません。
一方リデュースは、ごみの発生を抑制する取り組みなので、ごみの量を減らしていくためにはまずリデュースに取り組まなければならないのです。
リデュースでごみの発生を抑える暮らしを実践し、それでも出てきた廃棄物はリユースで再利用し、物としての寿命を延ばします。そして最終的にはリサイクルで再資源化され、また新たな物として役目を担っていきます。
暮らしの中で何かを選択する場面に出くわしたとき、リデュースな行動になるかどうかで意識的に選んでみると、それがいつか習慣となり、行動の積み重ねが地球の未来を変えていくことになります。
例えば、個人レベルで日常的にリデュースにつながるのは、
- 買い物の時は、マイバッグ、マイバスケットを使い、レジ袋はもらわない
- 食料品は必要な量だけ買い、食品ロスをなくす
- パックやトレイ入りでない商品を選んだり、量り売りを利用したりする
- 無駄な包装は断る
- マイボトル、マイ箸を持ち歩く
- 長寿命の商品を選ぶ
といった行動です。
または、以下のような企業、事業者の製品を選ぶのもリデュースを推進することになります。
- 修理やアフターサービスが充実していて長く使える
- パッケージや包装が簡易なもので発生するごみ量の量が少ない
- 製品設計の際に、材料や部品が少なくなるよう構成する
- 製品設計の際に、長く使えるよう耐久性が良いものや修理がしやすいものにする
- 食品ロス削減に取り組んでいる
これまで以上に製品の製造背景に目を向け、興味関心を向上させることで、リデュースを自分のこととして考えられるようにしましょう。
SDGsにおいてもリデュースが重要な意味を持つ!
リデュースを実践することは、SDGsの目標を達成することにもなります。SDGsは「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)のことです。
地球の未来を考えて行動を起こさなければ、持続不可能な世界になってしまうという危機感から、世界共通の地球を守るための目標をつくることになり、2015年、国連の場で世界の193か国が合意に至った国際目標がSDGsなのです。
SDGsには17の目標がありますが、その中の、
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
といった目標は、ごみ問題を改善することで達成に近づけるものです。
リデュースを始め3Rは、個人レベルで取り組めることが多くあります。毎日の暮らしの中で見直せる点がないかを振り返り、商品購入時やごみを処分するときにリデュース、リユース、リサイクルができないか立ち止まって考えてみましょう。
日々の行動がSDGsの目標達成、そしてごみ問題を含む地球が抱える課題の解決へとつながっていきます。
関連記事:サステナブルとSDGsの意味は?持続可能な社会に向けて達成したい目標
製紙業界がリデュース、3Rに取り組む意味
さまざまな業界、企業でそれぞれの課題を抱えており、それを解決するためにリデュースを含む3R活動に取り組んでいます。
現在、製紙業界では森林資源の減少や古紙回収率の向上が難しいといった課題を抱えています。
これらの問題を解決するには3Rの考えが必要で、製紙業界全体で、森林資源の減少を抑え、古紙回収率を上げるための取り組みが実践されています。
森林資源の減少
過剰な森林伐採や焼失などが原因で、森林破壊が進んでいます。紙の原材料としても森林資源は必要なものですが、自然の回復力を上回るスピードでの伐採は防いでいかなければなりません。
森林資源の減少を緩やかなものにするためにできることとして、まずは、森林以外のバナナやバガスといった植物を活用することが挙げられます。
バガスとは、砂糖を生産する上で発生する残渣物です。さとうきびから砂糖を搾汁した後、茎や葉などの大量の搾りカスが残ります。これがバガスと呼ばれるものです。バガスは植物繊維なので、木材と同じ様に紙の原料であるパルプになります。
その他、適切な管理がされた森林(FSC認証)の木材を使用して、管理し、加工・流通を行うなど、持続可能な生産と消費を促す仕組みを確立する必要があります。
古紙の回収率
現在、紙分野においては、品質的に使用可能な古紙が量的に限定されていることから、これ以上の古紙利用率の向上は極めて困難な状況です。
また、古紙利用技術も世界最高水準にあり、今後これまで以上の革新的かつ飛躍的展開を見込む事はできない状況にあります。
しかし、行政や集団回収に頼るだけでなく、製紙会社による拠点回収など古紙が再生循環できるスキームを構築することが必要です。古紙の回収率が限界に達しているとはいえ、
- 製紙原料の安定的供給の確保
- 省エネ、地球温暖化防止への貢献
- 資源の有効利用、ごみ減量化による循環型社会の形成
- 消費者、行政、回収業者と一体となった健全な紙のリサイクルシステムの維持
など、社会的な意義は依然として重要です。特に、オフィス古紙などはまだまだ回収率が低く、シュレッダーや焼却処分となることが多いため、企業主体での取り組みも重要となってきます。
山陽製紙では、不用なコピー用紙を専用回収袋「PELP! BAG」に入れ、山陽製紙に送ることで、今まで捨てられていた紙が、「PELP! PAPER」と呼ばれる再生紙に生まれ変わる「PELP!」という事業を行っています。PELP!会員は紙の送付量に関わらず、その共有資源を主とする100%再生紙を使って「PELP! PRODUCT」をつくることができます。
関連記事:【リデュースの事例紹介】環境のためにできる取り組みを始めよう
山陽製紙のこれからのリデュース目標
山陽製紙は紙づくりを通して、環境に配慮した循環型社会への貢献を目指しています。今後も、リデュースを始め、リユース、リサイクル活動に取り組み、脱炭素といった新たな目標に向けて企業活動を行ってまいります。
リデュースに関連した取り組み目標
商品の包装を簡易包装にしてごみの排出を押さえたり、適正在庫や製品の品質向上で余剰生産を防いだりすることで、廃棄物の低減を目指しています。
また、2008年に、環境省が策定した環境経営システムに関する第三者認証・登録制度「エコアクション21」の認証を取得しております。これからも、廃棄物量やエネルギー使用量などの削減を意識しながら紙づくり、販売を行っていきたいと考えています。
リサイクルに関連した取り組み目標
山陽製紙の製品の一部には、強度を出すために、糸入りクレープ紙やポリエチレンラミネート加工を施したものがありますが、糸の素材やラミネートはプラスチック由来であるため、そのままリサイクルすることが難しいという弱点があります。
また、製品の梱包にはプラバンドやOPPなどを使用しているので、これらの代替商品の検討や開発などが今後の課題となっています。
紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙
山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。- 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
- 製紙・商品開発の相談がしたい
- 工場見学をしてみたい
執筆者:山陽製紙
1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。