再生紙を利用したパッケージの意義とは?メリットや事例も紹介
近年、環境問題や資源問題への意識が高まり、企業やメーカーでは、商品をラッピングするパッケージに再生紙を利用して資源を有効に活用する動きが現れています。
再生紙を利用したパッケージは地球環境に配慮したものであるほか、古紙の風合いを活かすことで独特のデザインとメッセージ性がアピールでき、他社と差別化を図ることも可能です。
今回は、再生紙を利用したパッケージの意義やメリットをご紹介し、私たち山陽製紙の再生紙を利用した製品づくりから環境への取り組みについてもお伝えします。
目次
紙パッケージが抱える課題とは
スーパーやコンビニに行くと、これまでプラスチック製だったお菓子のパッケージが紙パッケージに変わっているのを目にしたことはありませんか?
これは、現在問題となっている海洋プラスチックごみ問題を解決するための一つの方法とされており、さまざまな企業やメーカーが脱プラに移行するため試行錯誤で開発に挑戦しています。
また、パッケージだけではなく、従来のプラスチック製品にかわり、資源の再利用を目的とした紙容器や紙ストローなどが使用され、資源循環に貢献する取り組みも行われています。
しかし、従来のプラスチック製のパッケージや商品から紙製のものにシフトチェンジすることが環境にやさしいと言えるかというと、そうとは言い切れない側面があります。
プラスチックと紙で製造過程における消費するエネルギーや水量を比較すると、一般的に紙の方が使用エネルギーは10%多く、4倍程度の水量を必要とすると言われています。
そして、紙の方がプラスチックよりも比重が大きいため、同じ数量を運搬する場合、運搬コストやそれに伴う消費燃料、CO2排出量も紙の方が多くなります。
何より、紙パッケージを一から製造するとなると、新たに伐採した木を原料としなければならず、地球環境の点から見ても森林保護を妨げる行動になってしまいます。
つまり、紙を使用することが資源循環に寄与するからといって、一概に紙がプラスチックより環境にやさしいとは言えないため、それが紙パッケージの抱える課題とも言えるでしょう。
再生紙を利用したパッケージとは
そこで今注目されているのが、循環型社会を推進する再生紙を利用したパッケージです。
パッケージに再生紙を利用することは、
- 製造から廃棄段階における有害物質の発生やCO2の排出の抑制
- ごみの分別の促進と紙ごみの排出量の削減
- 森林伐採量の削減
などの紙と地球環境に関する課題を解決することにつながります。
消費者の立場では、再生紙を利用したパッケージのものを購入することが持続可能な活動に貢献することになり、商品選びの際の一つの判断基準となるでしょう。
再生紙を利用したパッケージのメリット
再生紙を利用したパッケージを企業が導入することにどのようなメリットがあるのかを具体的にご紹介します。
企業のイメージ向上
再生紙パッケージを使用することで、SDGsや環境問題に取り組む会社として、社会にアピールすることができます。
また、再生紙パッケージを使用した商品はもちろん、その他の商品のイメージも向上し、売り上げ増につながる可能性があります。
地球環境を意識する企業としてブランディングでき、多様な営業展開が期待できます。
製品価値の向上
消費者が、再生紙パッケージの製品を目にしたり手に取ったりするとき、再生紙ならではの独特な風合いや温かみを感じることができます。
さらに、企業やメーカーの思い入れのあるパッケージに加え、製品自体もその原材料などや製造過程へのこだわりがあれば、より製品価値を高めることができるでしょう。
持続可能な社会への意識改革
企業が自社製品のパッケージを環境に配慮したものに変えることで、その商品を扱う社員を始め、取引先、小売店舗へも環境問題への興味を促すことができます。
環境配慮がスタンダードな意識となる今後の消費社会の中で、できることから始めるという意識改革は非常に重要だと言えます。
パッケージの元となる再生紙の作り方
再生紙を利用したパッケージ作りには、質の高い再生紙が必要となります。ここで、山陽製紙が製造する再生クレープ紙の手順を通して、回収された紙からどのように再生紙が出来上がるかをご紹介します。
まずは、原材料の溶解です。段ボールや茶クラフト紙といった古紙を主原料として使用し、パルパーという大型のミキサーのような機械で水と原材料を混ぜ合わせて溶解します。
次に、水分や異質な物質を除去します。古紙にはフィルムやホチキスなどの異物が含まれることがあるため、それらを取り除くと同時に、原料を洗って水を絞ります。そして、溶かした原料に必要な薬品(撥水剤、紙の強度向上のための紙力増強剤)や染料(繊維へ着色)を添加します。
次の段階は、原料を更に細かくする工程です。叩解機(こうかいき)という機械で、ほぐれた繊維が毛羽立ち、結合しやすくなるまで細くし、種類別に製紙に適した性質のパルプ繊維を作り出します。
続いて、原料を加工しやすいようにシート状にします。その後、プレス脱水された湿紙にクレープと呼ばれるシワを付けます。
最後に乾燥です。シワを形成した後は、アイロンを円筒型にしたようなドライヤーで、湿紙の表と裏を交互に乾燥させていきます。乾燥してでき上がった紙のシートを機械で巻き上げ、原紙が完成します。
そして、幅と長さを受注内容に合わせて切り分けてから出荷するのですが、ここで出た製品以外の端材は全て原料エリアに戻され、再利用されます。
山陽製紙の再生紙を利用したパッケージ作り
山陽製紙では、ご希望の原料や仕上がりを実現させるオーダーメイドの再生紙を製造し、それを用いたパッケージや製品を作っています。
私たちは、再生紙による製品作りで以下のことを大切に取り組んでいます。
①つくることで環境負荷がかかる薬品や材料は使用しないこと
②加工工程を鑑みて、紙としての機能や平滑性をできるだけ保つこと
③紙に混ぜる廃棄物を細かくしすぎるとお客様の想像する風合いと変わってしまう場合があるため、紙に抄き込めるサイズとオーダーメイド紙の風合いのバランスを見極めること
これまでに、通行券を再生紙としたオーダーメイド紙で作成した紙袋や、不用になったコーヒー粕を抄き込んだ紙で作成した封筒や名刺など、オリジナリティ溢れる製品作りでご好評をいただいております。
お客様の多様なニーズにお応えするオーダーメイドの紙製品については、こちらの「オーダーメイド(※リンク挿入https://www.sanyo-paper.co.jp/products/ordermade)」ページでも詳しくご紹介していますのでぜひご覧ください。
紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙
山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。
環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。
小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
製紙・商品開発の相談がしたい
工場見学をしてみたい
…など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。
紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙
山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。- 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
- 製紙・商品開発の相談がしたい
- 工場見学をしてみたい
執筆者:山陽製紙
1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。