カーボンニュートラルのメリットとは?地球にもたらす効果と企業が取り組む意味について
地球温暖化問題の対策として注目を集めている取り組みのひとつであるカーボンニュートラル。脱炭素社会に向けて環境面はもちろんですが、企業にとっても社会的に大きなメリットがあります。
今回は、「カーボンニュートラル」の考え方に着目し、環境にどのような良い効果があるのかや企業における具体的なメリットとはなにかについてご紹介します。
目次
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは、地球温暖化の要因であるCO2をはじめとした、メタンやN2O(一酸化二窒素)、フロンガスを含む「温室効果ガス」の排出量から吸収量を差しい引いた合計をゼロにすることを意味します。
現在世界中で、持続可能な社会への目標であるSDGsが掲げられていますが、カーボンニュートラルは、SDGsの17の目標のひとつ「13.気候変動に具体的な対策を」にも関わる地球温暖化の問題をクリアしながら、CO2の排出がない「脱炭素社会(Carbon neutral society)」という新たな社会構築に進む非常に重要な取り組みの一つだと言えます。
日本では、CO2排出量の約4割を電力部門が占め、残りの約6割は非電力部門である産業や運輸、家庭などからの排出となっています。
この結果を受けて、エネルギー市場は、脱炭素化に向けて再生可能エネルギーによる電力供給の拡大を進めたり、火力発電に代わる安定的な代替技術の開発に取り組んだりしています。
しかし、脱炭素社会のためには、特定の分野のみで取り組むのではなく、さまざまな業界の企業や個人が温室効果ガス排出量の削減と吸収作用の保全、強化の努力を尽くさなければなりません。
地球規模でのカーボンニュートラルのメリット
脱炭素社会の実現に向けて、120以上の世界中の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を定めています。
では、地球規模でカーボンニュートラルに取り組むことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
温暖化を抑制することができる
地球規模でカーボンニュートラルに取り組む一番のメリットは、地球温暖化の要因の一つである温室効果ガスの主要素であるCO2の排出が削減できる点です。
温室効果ガスの70%以上は、人間の経済活動などから排出されるCO2であり、省エネや創エネ、再生エネルギーの活用によってCO2排出量を減らしていくことは、環境的な側面において非常に好影響であると考えられます。
資源を後世へ残すことができる
地球にある資源はすべて有限なもので、無限に使い続けることは不可能です。例えば、石油は、このままのペースで私たちが利用していれば30年から50年の間に枯渇すると言われています。
しかし、カーボンニュートラルに取り組めば、石油やガソリンなどの経済社会のエネルギー源を後世に残すことができ、さらに、化石燃料の使用量も削減されるためCO2排出量削減の効果も期待できます。
自然との共生ができる
カーボンニュートラルは、CO2の発生量と吸収量を均衡させる取り組みです。CO2の吸収量を増大させる上で、植樹や適切な植林管理などによる緑の生育は欠かせません。
国や企業、個人レベルで緑化活動の方法は異なりますが、カーボンニュートラルへの取り組みを推進することで、生活の周りに緑が多くなり、生活の風景が変容していくと考えられます。
カーボンニュートラルに企業が取り組むメリット
世界規模で目指すカーボンニュートラルですが、個人はもちろんのこと、まずは企業が率先して取り組まなければなりません。
カーボンニュートラルの実現のために企業が取り組むとどのようなメリットがあるのかご紹介します。
社会的な企業イメージの向上
企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットとしては、CO2排出減に取り組み、地球温暖化問題に向き合うことで、企業イメージが向上する点です。
単なる商業主義ではなく、地球環境とともに地域や住民と共生する姿を伝えることができれば、企業のイメージは向上し、将来的な商品やサービスの売り上げにも繋がるでしょう。
そのためには、カーボンニュートラルを進める企業は、環境配慮や製品製造に関する環境負荷の見える化が求められます。
商品やサービスのライフサイクル(材料調達、製造、使用、廃棄、再利用)において、環境負荷を定量的に評価が出来なければ企業の信頼は向上しないと考えられます。
コスト削減
カーボンニュートラルに取り組む企業が、その一環として省エネと再生可能エネルギーを導入すれば、光熱費を削減することが可能です。
例えば、社内や工場などで使用する機器などを省電力設計のものに更新すれば省エネを実現できますし、さらに、太陽光などの自家発電の再生可能エネルギーを利用すれば、光熱費のコストも削減することができます。
また、原材料や部品などの調達、製品の製造段階から廃棄までも含めたサイクルでのCO2排出量を削減する努力をすると、光熱費だけでなく燃調費のコスト削減にも繋がります。
企業で働く従業員の意識改革
個人レベルでの環境問題への貢献は小さな一歩で、効果や影響を実感できにくくても、企業レベルであれば構成単位は大きく、社会への影響や効果を実感しやすくなるものです。
そして、そのカーボンニュートラルへの取り組みを、会社内での活動や商品・サービスを通して行うことで、地球環境に寄与しているという自負にもつながります。
製紙業界がカーボンニュートラルに取り組む意味
製紙業界も、他業種の企業同様に、カーボンニュートラルに取り組むことで先述したメリットを感じることができますが、自然の恩恵を受けて成り立っている業界だからこそ、メリットのみを追求するのではなく、自然に循環させる意識が必要だと考えます。
例えば、CO2排出量を削減するために、近年脱プラの動きが加速しています。プラスチック製品の代替品として挙げられる紙製品の需要がアップしているのは事実で、当社でも紙素材のノベルティを開発したいなどのお声をかけていただくことが増えました。
これを商機と捉え、新たな紙製品を開発することは良いことでしょう。しかし、製紙業界は大量のエネルギーを使って営まれる産業です。プラスチックの代替だからといって、紙製品の製造を無計画に行っていては、かえって環境負荷が増えてしまう恐れもあります。
製紙業界が地球にやさしい素材としての紙を作るのならば、工場電力の再生可能エネルギーへの切り替えや、CO2吸収量を担保するための森林管理を行うなど、カーボンニュートラルを通して、紙の生産から廃棄までのサイクルが環境に循環するものになるよう努力しなければなりません。
今後も脱プラスチックの影響やカーボンニュートラルの取り組みで紙の利用がさらに広がっていくと思われます。環境負荷を抑えた紙づくりで、持続可能な循環型社会への動きを促進させることがこれからの製紙業界の役目だと考えます。
紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙
山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。
環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。
小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
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執筆者:山陽製紙
1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。