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アップサイクルの製品例3選!基本知識や大切なポリシーも

カテゴリー: コラム 投稿日:2024.12.04 / 最終更新日:2024.12.03
sanyoAdmin

執筆者山陽製紙

現在、世の中ではアップサイクル(upcycle)の考え方が重要視されてきています。皆さんも具体的にどのようなアップサイクル製品があるのか、気になったことはありませんか。

今回は、さまざまな紙のアップサイクル製品を手掛けている私たち山陽製紙株式会社が、アップサイクルの基本情報を説明したうえで、具体的な製品例について詳しくご紹介します。アップサイクル製品を扱う事業において大切なポリシーにも触れていくので、気になる方はぜひ最後までお読みください。

アップサイクルの基本情報は?

まず、アップサイクルがどのような考え方を指しているのか学んでいきましょう。ここでは、言葉の意味・似た言葉との違い・注目される理由について説明します。

「不用品の価値を高めること」

アップサイクルは、「もう使わないモノを加工することで、その価値を高めること」を指します。たとえば、すでに着なくなってしまった洋服に手を加えることで、別のファッションアイテムや雑貨などとして活用するケースなどが例に挙げられるでしょう。

「アップサイクル」という言葉は90年代に提唱されたと考えられていますが、その前提となる考え方は古くから人々に定着していたと思われます。なぜなら、昔の人々は、限りある資源を有効活用して生活を営んできたからです。

アップサイクルの意味に関する詳しい説明は、こちらの記事でも解説していますので、あわせてご参照ください。

関連記事:アップサイクルの意味とは?リサイクルとの違いや事例紹介

似た言葉との相違点

アップサイクルには似た言葉が多く存在するため、それぞれの意味を認識しておきましょう。代表的なものは以下の一覧のとおりであり、資源の有効活用やごみの削減に大きく役立っています。

ダウンサイクル:もう使わないモノに手を加えて、元のモノより価値が落ちた製品を作り出すこと(例/着なくなった衣類を雑巾にする)
リサイクル:もう使わないモノを原料に戻し、新しい製品を作り出すこと
リユース:同じモノを使い続けること(フリーマーケットなど)
リデュース:ゴミ・廃棄物の量を減らすこと
リメイク:もう使わないモノに手を加えること(付与される価値の高さは問わない)
リクレイム:廃材などをなるべく本来の状態に戻して使用すること

こちらの記事でもアップサイクルと似た言葉について解説しているので、参考にご覧ください。

関連記事:アップサイクルの素材は何がある?具体的な例も解説

アップサイクルが注目される理由

アップサイクルが現在、日本だけでなく世界中で注目されている理由は、下記が例に挙げられます。

  • 世界中でSDGsへの注目度が高まっている
  • 新しいモノを無駄に購入しないことで、節約につながる
  • 世界的に見て、省資源化する必要がある
  • アップサイクルに取り組むことで、企業のアピールや宣伝に結びつく

この中でもとくに、「アップサイクルが企業のアピールに結びつく」という点は注目したいところです。企業がアップサイクルなどを取り入れて地球環境に配慮していると発信することで、新たなビジネスチャンスを呼び寄せる可能性があります。そのため、今後の事業拡大を考えているなら、アップサイクルに取り組むことは有効な選択肢になるでしょう。

アップサイクルの製品には何がある?具体的な例3選

アップサイクルの製品には何がある?具体的な例3選

ここからは、山陽製紙株式会社が取り扱っているアップサイクルの製品例を3つ紹介します。自社とマッチするサービスはないか考えながら、詳細についてご覧ください。

crep(クレプ)

まずご紹介するのは、工業用クレープ紙の端材から生まれた製品ブランド「crep(クレプ)」です。セメント袋の口縫い用テープや電線類を包装する紙として用いられてきた「crep paper」という素材を使っており、レジャーシートやテーブルマットなどのアイテムが販売されています。

なんといってもその特徴は、「工業用紙ならではの耐久性」「水に強いこと」「シワのある紙であること」です。裏面はラミネート加工で防水性があり、表面もある程度の撥水性があるため多少の水濡れにも耐えられます。

シワが生み出す独特の風合いは、ビニール製のレジャーシートと比較すると肌当たりが優しく、またその豊富なデザインも高い評価を得ています。

ちなみに、crep(クレプ)で使われている工業用クレープ紙は、山陽製紙創業時から製造しているもので、その端材の有効活用がブランド立ち上げのきっかけでした(現在は製造量を増やすために、一部専用ロットを使用しています)。この工業用クレープ紙は、もともと業務用として使われており、一般層をターゲットに商品展開をしたことは非常に珍しいと考えています。

「自然とふれ合い・楽しみながら、守るべき自然を身近に感じるきっかけになる」という点を重視しながら商品を生み出しているため、興味がある方は詳しい情報をご確認ください。

参考ページ:crep(クレプ)

SUMIDECO(スミデコ)

次に取り上げるのは、廃棄する梅の種を有効活用した製品ブランド「SUMIDECO(スミデコ)」です。

こちらは、梅の種を炭に変えて紙に抄き込むことによってできた機能紙「Sumideco Paper」を使っており、畳や襖の裏紙や靴用の脱臭ノベルティなどとして利用されています。本来であれば廃棄されていた梅の種が、炭の機能を持った紙として生まれ変わった製品です。

「Sumideco Paper」を開発する際は、紙全体に炭が均等に行き渡るよう、試行錯誤しました。本来であれば炭を固定するために糊や樹脂などを使うのですが、弊社の抄き込み技術であれば、それらを使用する必要がありません。

その結果、一般的な抄き込みよりも炭の残存率が高くなり(当社比)、品質の高い製品を作ることが可能になりました。炭の歩留まりがよいことから、コストパフォーマンスが高いところも特徴の1つです。

参考ページ:SUMIDECO(スミデコ)

なお、ここまでで紹介した「crep paper」と「Sumideco Paper」は、社内で測定した「カーボンフットプリント(CPF):その製品の原料から廃棄までに発生する温室効果ガスの排出量を示したもの」を算出し、サイト上で公表しています。

オーダーメイド再生紙

3つ目に紹介するのは、廃棄物や製造副産物からオリジナルの紙を作る「オーダーメイド再生紙」です。お客様が取扱いに悩んでいる廃棄物などを抄き込むことで、アップサイクルされた混抄紙を作成しています。

なお、混抄紙の概要については、こちらの記事をぜひご覧ください。

関連記事:紙に食べ物を混ぜられる?!混抄紙とは

弊社では、大手メーカーの約5分の1という小ロット(最小600kg)から紙を製造できるところも大きな魅力となっています。また、手漉きサンプルの作成も可能ですので、紙に混ぜる材料についてお悩みの場合は、ぜひ事前にご相談ください。

これまでにさまざまなお客様からのご依頼を受け、オーダーメイド再生紙を用いた多種多様なアップサイクル製品を製作してきました。そのうちの一つが、「古本をノートにアップサイクルする」というこちらの例です。

参考ページ:株式会社バリューブックス様 古本再生紙(本だったノート)

このケースでは、買取価格がつかなかった古本をオーダーメイド再生紙としてアップサイクルし、古紙回収とはまた違う資源循環を実現。クライアントである株式会社バリューブックス様は製紙だけでなく印刷会社や製本会社選びにもこだわり、「できる限りの循環を生めるようなノートにしたい」という思いを具現化した製品が完成しました。

この際、お客様からは「もとの古本の気配を残したい」というご要望があったため、完全に粉砕せず、元の本の文字が少し残る程度にとどめるなどの工夫を凝らしたこともポイントです。このように、お客様からの要望を叶えるため細かな調整を行ったうえで、オーダーメイド再生紙を製造しています。

弊社では今回紹介したもの以外にも、さまざまな紙のアップサイクル製品を世に送り出しています。具体的には名刺やパッケージなど、種類豊富なプロダクトへの展開が可能です。さらに詳しい情報が知りたい場合は、弊社の公式サイトをご確認ください。

参考ページ:山陽製紙株式会社

アップサイクルの製品づくりで大切なことは?

アップサイクルの製品づくりで大切なことは?

アップサイクルの製品を作る際は、いくつかのポリシーを大切にする必要があります。ここでは、代表的なポリシーを3つ厳選したのでご紹介します。アップサイクルを進めたいと考えている方は、ぜひ参考にご覧ください。

資源を大切にすること

なんといっても、今地球上に残された資源を大切にすることを頭に入れておかなければなりません。なぜなら、私たちが利用できる資源は有限だからです。

弊社としても、限りある資源を「地球の財産」として大切に使って生まれ変わらせ、循環型社会に貢献することを重要視しています。資源についてよく考えることが、質の高いアップサイクル製品を生み出していくことでしょう。

関連記事:循環型社会のために企業や個人ができることは?製紙業界の取り組みについて

多くのユーザーを喜ばせること

より多くのユーザーに喜ばれる製品を作る意識も、アップサイクルの製品づくりには重要になってきます。というのも、アップサイクルで生まれた製品を多くの人々に利用してもらうことでビジネス的な成功に繋がり、社会貢献度も高まるからです。

製品考案のためにターゲットの絞り込みは必要になってきますが、より多くの人々の興味関心を引き寄せられるようなアイデアを体現することが大切ですね。

新しいジャンルを開拓すること

現在、国内外において多くの企業がアップサイクル製品を製造しています。そのため、ほかの企業と内容が被らないようなオリジナリティある製品をつくることも必要です。

具体的に言うと、今までアップサイクルの製品化が進んでいなかった分野、素材における製品を考案したり、オリジナリティのある方法や過程を用いて製品づくりを行うことが例に挙げられます。その際は、弊社をはじめとしたアップサイクルの実績が豊富な企業とともに作業を進めることもおすすめです。

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙 山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。
  • 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
  • 製紙・商品開発の相談がしたい
  • 工場見学をしてみたい
…など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。
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執筆者:山陽製紙

1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。

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