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生地をアップサイクルするには?|意味・例・気を付けるポイント

カテゴリー: コラム 投稿日:2025.03.20 / 最終更新日:2025.02.03
sanyoAdmin

執筆者山陽製紙

生地をアップサイクルするには?|意味・例・気を付けるポイント

地球の資源を有効活用するアップサイクルは、近年大きな注目を集めています。アップサイクルは食品やジュエリーなど、さまざまなモノを再利用することができますが、今回は洋服やふとんなどの生地を紙に生まれ変わらせるアップサイクルについて解説していきます。

生地をアップサイクルする意味や、生地を紙にアップサイクルする際のポイントにも触れていくので、詳しい情報が知りたい方はぜひ最後までお読みください。

生地のアップサイクルに関する基礎的な知識

まず、生地のアップサイクルに関する基本的な知識について見ていきましょう。この段落では、アップサイクルそのものの意味と、生地をアップサイクルする意味を解説します。

そもそもアップサイクルは何なのか?

アップサイクルは、「不用品を加工し、価値を高める形で再び使用すること」を表す言葉です。よって、価値を高めることを重視していない「リサイクル」や「ダウンサイクル」とは意味が異なります。

アップサイクルには「限りある地球の資源を有効活用できる」「環境負荷の低減に対する消費者の意識を変えられる」などの長所があります。そのため、SDGs達成への努力が必要である現代において、注目を集める考え方の一つです。

アップサイクルそのものに関する概要は、こちらの記事で取り上げています。本記事と合わせて、参考にご覧ください。

関連記事:アップサイクルのメリット・デメリットとは何?具体的な実例も紹介

生地をアップサイクルする意味は?

アップサイクルでは、食品、アパレルアイテム、紙製品などの商品を再利用するケースが多く見られます。今回取り上げるのは「布の生地のアップサイクル」です。

生地のアップサイクルを世の中に広めると、「洋服をはじめとした生地の資源を大切にしなければならない」と消費者が気付くきっかけを与えることに繋がります。

大量生産・大量消費の考え方が浸透してしまっている現代では、不用になった洋服の多くはごみとなって焼却・埋め立てされます。今後の地球環境を考えると、こういった状況はなるべく避けなければなりません。生地をアップサイクルする活動を広めることで、消費者への啓蒙につながるでしょう。

もちろん、そもそものごみの量を減らす「リデュース」に力を入れることも重要です。しかし、リデュースだけでは効果的なごみ削減は難しいと思われます。

そのため、リデュースを行ったうえで、それでも出てしまった生地の端切れなどをアップサイクルするなど、複合的な取り組みを実施することが必要です。

こちらの記事では、さまざまな不用品を紙としてアップサイクルする際の例や注意点について説明しています。関連情報として、ぜひご確認ください。

関連記事:不用品を紙としてアップサイクルする際の特徴・事例・注意点は?

生地をアップサイクルする例

生地をアップサイクルする例

続いて、生地を紙にアップサイクルする方法を2つピックアップして解説します。ここでは、弊社・山陽製紙株式会社が取り扱ってきた案件の一覧の中から、「服の生地」と「ふとんの生地」の2つを例に挙げます。

①服の生地

キンコーズ・ジャパン株式会社様では、廃棄予定のユニフォームをもとにオーダーメイドの紙を製造し、サービス紹介リーフレットを作成。この取り組みは、地球環境に対する企業の考え方を、社外に向けてアピールするきっかけになっています。

参考ページ:キンコーズ・ジャパン株式会社様 廃棄ユニフォーム再生紙(混抄紙)

②ふとんの生地

河田フェザー株式会社様では、ふとんの側生地のアップサイクルを実施しました。本来であればリサイクルが難しいふとんの側生地を、紙に混ぜて名刺やパンフレット等に加工し、再利用しています。これは、業界の中でも画期的な取り組みとなりました。

参考ページ:河田フェザー株式会社様 ふとん側生地再生紙(混抄紙)

混抄紙についてもっと知りたいと感じた方は、以下の記事を参考にご覧ください。

生地をアップサイクルする際のポイント

最後に、生地を紙にアップサイクルする際に気を付けるべきポイントを3つ取り上げて説明します。

①完成後の色味に配慮すること

食品やその他の原料によっては熱が加わる抄紙工程で素材の色が抜けることが多いですが、衣類の生地などは比較的紙の仕上がりに元の色が反映されやすいようです。

たとえば、デニム地を紙に再利用した際は青い紙が出来上がるケースが多く見られます。よって、完成後の色味がどうなるかを事前に配慮しておく必要があるでしょう。

ちなみに山陽製紙では、試作開発室があるため、手すきサンプルを1枚から作ることができます(こちらのサービスは有料です)。

②混ぜられない材料や量について把握すること

生地の中には、アップサイクルが難しいものも存在します。たとえば、熱で溶けてしまう素材などはアップサイクルできません。また、紙に混ぜられる原料の割合には制限があるため、生地のすべての切れ端を紙に混ぜられないことも念頭に置いておく必要があります。

③粉砕の程度にも意識を向けること

生地をアップサイクルするにあたって、「どのくらいの大きさに生地を粉砕するか」も重要な要素になってきます。たとえば、荒い粉砕だとざらざらした紙に仕上がりますが、粉砕しすぎると逆に再生紙であることが分かりづらい紙になる可能性があります。出来上がりのイメージに合うように、粉砕の程度を調整するようにしましょう。

アップサイクルに企業で取り組む際の総合的なポイントについて知りたい場合は、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:アップサイクルにおける企業の取り組みやコツは何?|具体的な例3選

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙 山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。
  • 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
  • 製紙・商品開発の相談がしたい
  • 工場見学をしてみたい
…など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。
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執筆者:山陽製紙

1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。

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