ミミズコンポストのこと
社内のゼロエミッション活動
我が社では色々な委員会活動をしているのですが、その中の一つにゼロエミ委員会があります。ゼロエミ委員会というのは、正式にはゼロエミッション推進委員会とも言うべきもので、社内のゼロエミッションに挑戦する委員会です。
ちなみに、ゼロエミッションとは簡単に言うと、私たち人間が排出するゴミを限りなくゼロにするために、資源を最大限活用し、そして持続可能な経済活動や生産活動を行うという考え方です。
そこで、社内の排出ゴミを少しでもゼロに近づけるべく、できることは何でもやろうと、コンポストを購入することになりました。
「コンポスト」とは、生ごみを捨てずに発酵・分解し堆肥(土)化する仕組みで、最近改めて注目され、見た目もおしゃれなバッグ型や、ダンボールで自作する方法が紹介されるなど、気軽に始められるものが増えています。
山陽製紙でも社内で出る生ごみを、コンポストを使ってたい肥にしようというわけです。
自作の「ミミズコンポスト」の実験を始めました。
最初のコンポストは失敗でした。野菜くずやお弁当の残りをいれて、何回のぞいても、たい肥にならないのです。発酵促進剤を買ってきて加えても、野菜くずがいつまでもそのままです。
諦めかけたとき、名案がひらめきました。「そうだ!工場にはたくさんのミミズが住んでいる!!」
我が社は古紙(段ボールや新聞紙など)を再生して、工業用のクレープ紙を作っているのですが、その際「スラッジ」というゴミがたくさん出ます。(スラッジとは、主に古紙の中に混じっている異物が紙になることができずに排出されたものです。)
この「スラッジ」はゴミにせず、セメントの増量剤として再利用されるのですが、その「スラッジ」を溜めている工場の片隅にたくさんのミミズが住んでいるのを知っていました。そして、ミミズは土の中に住みながらその土を栄養豊かにする存在であるということも。
そこで、このミミズの力を借りよう、ということになったわけです。調べてみると、世の中には「ミミズコンポスト」というものがあるらしく、早速手作りで「ミミズコンポスト」なる物を作りました。
するとどうでしょう。今度は大成功です。
煙突のような筒から野菜くずを入れるのですが、今のところ大体一ヶ月くらいで発酵分解します。ミミズがせっせと食べてくれているようです。ミミズの糞の混ざった立派なたい肥ができました。
次は、出来上がったたい肥を土に混ぜて、そこに生ごみにするはずだったニンニクや、白菜や春菊の根元の部分をそのまま埋めてみたところ、なんと芽が出て育って、花までつけてくれました。ミミズもすくすくと?育ち、増えていき、実験プランターも増殖中です。
社内の小さな菜園での小さな活動です。
ですが、自分たちの出した生ゴミが土を豊かにし、野菜が育つという循環を目の当たりにすることは、ゼロエミッション活動の大きな成果で、励みになります。
工場の片隅で、ただ存在だけは知っていたミミズともチームを組むことができました。
この夏は、家庭菜園ならぬ会社菜園で茄子やキュウリを育てる予定です。
この記事を書いたひと
原田千秋山陽製紙株式会社 専務取締役
広島県呉市出身
広島大学教育学部卒業後、同じ大学のマンドリンクラブで同期だった原田六次郎氏(現:山陽製紙株式会社 代表取締役社長)と結婚。中学校の教員を経て、1992年、経理等を担当するため山陽製紙の社員となる。
瀬戸内海の島育ちにも関わらず、水泳もできない運動音痴。
耳元に広がる波の音や、山が黄金色に染まるみかん畑などが心の原風景。
山陽製紙(株)の経営ビジョン「地球の財産を生かし、自然と共に生きる永続企業」もその様な原風景が背景にある。
紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙
山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。- 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
- 製紙・商品開発の相談がしたい
- 工場見学をしてみたい
執筆者:山陽製紙
1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。