炭化させた種などを紙に抄き込み、炭が持つ優れた機能を生かした紙
SUMIDECO イメージ

食品加工の工程において排出される製造副産物の梅の種を炭にしてパウダー状に加工したものを独自の技術で紙へ抄き込んだ「Sumideco Paper(スミデコペーパー)」を開発しました。

「Sumideco Paper」は炭の持つ脱臭・調湿効果が備わった機能紙として、畳表や梱包資材、販促グッズとしてなど様々な分野でご活躍いただいております。

また、自社ブランドとして「Sumideco Paper」を使用した製品ブランド「SUMIDECO」を展開。「Sumideco Paper」の風合いを活かしたブックカバーを販売しています。

※SUMIDECOは山陽製紙株式会社の登録商標です(登録第6090685号、登録第6090686号)

Sumideco Paperの可能性と事例紹介

炭を紙に抄き込むことで、炭が持つ優れた機能を紙にも持たせることができます。

代表的なものでは脱臭機能や調湿機能といったものがありますが、紙の特性を活かして様々な形状に加工することができ、アイデア次第であらゆる商品を作ることができます。

パリでのファッション展示会「TEX WORLD」やベルギーでの「マテリオ」等、国内外の展示会に出展し、デザイナーやバイヤーから好評を得ています。

Sumideco Paperの中敷き

Sumideco Paperを使った再生紙ノベルティの採用事例一覧

「Sumideco Paper」とは

梅炭
梅炭
炭(Sumi)でエコ(eco)する「Sumideco Paper」は、「廃棄物」を炭化して再生紙に抄きこんだ、「炭の機能」を持った紙です。最初は「梅の種」を炭化した「梅炭(うめずみ)」を紙に抄きこむことから始まりました。日本古来の健康食品として名をはせている『梅』。我が社はそのブランドである「南高梅」の産地のほど近くにあります。美味しい「南高梅」は、世界中の人に愛されていますが、一方で、加工業者から出る梅の種が産業廃棄物としてその処分が問題となっていました。そこでその種を「炭」にして、次に用途を広げるために紙の中に抄きこめないかと依頼がありました。弊社は独自の製法で、梅の種の「炭」を紙の中に抄き込み、「炭」の機能を持った紙に生まれ変わらせました。
こうしてSumideco Paperは生まれた!?きっかけから商品化にいたるまでの秘話。
Sumideco Paper開発秘話

ガスの除去性能評価試験(一般財団法人カケンテストセンター )

各種ガスの除去性能評価試験

一般財団法人カケンテストセンター

品名:梅炭シート(Sumideco Paper)200g/㎡
試験項目:ガスの除去性能評価試験
2022年8月29日 実施

天日干しで繰り返し使える!

炭の気孔に悪臭が吸着します。
吸着の限界は臭いの量にもよりますが、靴の場合1ヶ月が目安です。吸着の限界に達した場合、
天日干しにより吸着剤の悪臭が放出されるので使用開始〜約3ヶ月(当社調べ)を目安に
繰り返しご利用頂けます。

炭を紙に抄き込む

山陽製紙のSumideco Paperは製造副産物の炭と古紙で製造されています。通常は糊や樹脂(塗布剤)を使って素材(炭)を固定しますが、山陽製紙の抄き込み技術なら糊や樹脂を使わずに素材(炭)を固定することができます。

このため、通常の抄き込みに比べ素材(炭)の残存率が相対的に高くなり(当社比)高機能な紙を作ることが可能になります。

また、紙へ抄き込む工程での炭の歩留まりがよく、低コストで高い効果が期待できます。

製紙工程
  • 産業廃棄物
    産業廃棄物
  • 炭の粉末
    炭の粉末に焼成
  • 再生紙に抄き込む
    100%再生紙に抄き込む
  • Sumideco Paper
    「Sumideco Paper」完成

Sumideco Paper 開発秘話

Sumideco Paper製紙風景

きっかけはタオルメーカーからの依頼でした

2003年4月、とあるタオルメーカーから南高梅の種を炭化させた梅炭パウダーが紙に入らないか? という依頼が入りました。梅炭を使用した商品はタオル業界でも珍しく新聞に取り上げられるほどの商品であり、弊社でも興味を持っていました。
そんな時に、依頼が来るとは夢にも思っていませんでした。
梅炭のパウダーを紙にどのように入れ込むかを、あらゆる視点・発想で実験し、繊維業界で主流であった繊維に染み込ませる『含浸』の手法を取り入れ、洗剤の霧吹きに『水・梅炭・パルプ』を混ぜ、紙に吹き付けたのが始まりです。
この手法で作成した梅炭クレープ紙第一号が、思わぬ評価を頂いたことにびっくりしました。

梅炭クレープ紙のサンプルが思わぬところに

ある日、当時の開発担当宛に弊社社長から一本の電話が入りました。その電話を取ると『君、えらいことしてくれたみたいやね』と開口一番言われました。
担当者が内容を聞き返してみると、とある銀行の支店長から電話があり『環境に配慮した紙を開発したそうですね!』と言われたそうです。
社長には報告していたのですが、本格的に開発したものでなくサンプルでの提出程度だったのですが、これが反響を呼び、本格的な開発に取り掛かるのです。

試行錯誤…

しかし、霧吹きでのサンプルでは流通に乗せる事は出来ません。そこで中野と開発担当が主力となり本格的な開発が始まりました。
まずは手抄きにて『梅炭』を混ぜて紙にしますが、均等に梅炭が混じりあいません。
試行錯誤を重ねた結果、試作で使用した霧吹きと同じ仕組みの噴霧装置を手作りで作成して、液体(梅炭と水の混合液)の濃度を決め、機械スピードと噴霧量を調整して紙の坪量に対して何%と言う感じで実機でのテストを繰り返しました。

みんなでつかんだ成功の瞬間

2007年10月、製造方法を根本的に見直し変更したことで、ようやく層間剥離の問題をクリアしました。この時の喜びは何事にも代えられないものでした。
現在では梅炭Ⅱクレープ紙という形になり、沢山の加工商品化に至っております。
私たちはこれからも、コストダウンや改良を重ね、環境対応商品として世界に広めていくことを使命として頑張っていきます。